2019年9月に開催された「Oculus Connect 6」の中でアナウンスされたQuestの新機能の中で、Oculus Linkに並んで注目度の高かったハンドトラッキング機能が、今週中(12月第2週)にリリースされることが発表されました。
元々の予告では2020年初旬とされていましたが、テスト版が予告よりも早くリリースされるようです。
VR業界では予定よりも遅れることが日常茶飯事なのに、Oculus Linkの熱も冷めやらぬ中でのこのスピードリリースは凄いですね。Oculus本気です(笑)
とりあえず、筆者がいろいろ見て回った情報をまとめてみたいと思います。
ハンドトラッキングとは?
ハンドトラッキングとは指や手の動きをカメラで読み取り、従来のようなコントローラーを使わずに操作を行えるようにする機能です。
ハンドトラッキングと言う技術自体は特に新しいモノと言うわけではなく、PCでは既に「Leap Motion」等のデバイスを使ってハンドトラッキングをすることができます。評判も良く、値段もそれほど高くはありません。
ハンドトラッキングはAR/VRとの相性が良いので、PCVRユーザーでも併用している方がそこそこいるようなのですが、まだ対応する環境やアプリがほぼ無く全く浸透しているとは言えない状態です。
Questのハンドトラッキングの素晴らしいところは、特に新しいデバイスを追加せずQuestの内蔵カメラを使ってハンドトラッキングが出来てしまうところにあります。
この機能がQuestの標準機能となり一般的なVRの操作方法となることによって、イマイチ浸透していなかったハンドトラッキング環境の整備や普及が一気に広がる可能性があります。
QuestOSのバージョン12にテスト版を実装
ハンドトラッキング機能は今週リリースされる予定のQuestOSのv12からの実装となり「Experimental Features(実験的機能)」を有効にすることで利用可能になるようです。
Oculus Link 同様に「テスト機能」としての実装なのでこのような形になっているようですが、なんだか使えないぞと言う方は、QuestOSのバージョンや設定をチェックするようにしましょう。

QuestのバージョンアップはQuest内の「設定 → 情報 → ソフトウェアのアップデート」から手動で行うか、スリープモードで放置して自動で行われるのを待つような形になります。(要、Wi-Fi接続)

アップデートリリース直後は混雑緩和の為にアップデートを行える端末数が制限されるので、アップデートできるタイミングは端末ごとに異なります。(手動アップデートもできない)
自分の順番が回ってくるまで、気長に放置して待ちましょう。
まずはホームアプリ・Webブラウザー・OculusTV等の公式アプリから対応
とりあえず、ホームアプリやOculus公式アプリからハンドトラッキングが使用できるようになるようです。
動画を見る限りでは、人差し指と親指を長くつまんでドラッグ、短くつまんでクリックみたいな感じで操作するようですね。
某SF映画のようにパネルを手に取って手をスライドしてシュバーっとメニューをスクロールしてみたり、ポンポンと指でアイコンをタッチして選択するようなのを期待してしまいますが、従来の操作がベースとなっているせいでこれまでのアイコンをポイントしてクリックする感じから脱却できてはいませんね。
コントローラ操作との兼ね合いもあるので、この辺は今後に期待と言ったところでしょうか。
ハンドトラッキングはどのアプリでも使用できるわけではない
ハンドトラッキングは単純に手の動きをコントローラーに置き換えるような実装ではなく、リリース直後から全てのアプリでハンドトラッキングが使えるようになるわけではないようです。
アプリ側の方でハンドトラッキングに対応したアップデートが必要になるので、特にこのアップデートがされないアプリはハンドトラッキングには対応しません。
アプリ開発者向けのハンドトラッキング用SDK(ソフトウェアの開発キット)は12月16日から配布される予定で、ハンドトラッキング対応のサードパーティ製アプリの登録は2020年1月から受付開始されるようです。
早くても来年にならないとハンドトラッキングを使用したサードパーティ製アプリは出てこなさそうですが、頻繁にバージョンアップをしている既存アプリはもっと早く対応してくるかもしれませんね。(VirtualDesktopは既にやる気満々のようですが(笑))
VRゲームの開発にもよく利用される Unity や Unreal Engine4 等のゲームエンジンからも利用可能となるようです。
少し消費電力が増えて、Oculus Touchとの同時使用は不可能?
過去のアナウンスではこの機能を使用すると電力消費が多少増え、既存のコントローラとの同時使用はできないとされています。
消費電力はわずか7分程度の差とのことですし、既存のコントローラとの同時使用ができないと言う部分も少し残念ではありますが、肝心の手がコントローラに隠れてしまっては元も子もありません。(足にコントローラをくくり付けてもQuestのカメラではトラッキングできないでしょうし(笑))
今回のリリースではこの辺がどう変化しているのかも気になりますね。
最後に
元々、QuestやRift Sで使われている「Oculus Touch」コントローラは他のVRコントローラと比較しても非常に完成度が高く(持ちやすく誤入力しにくい)、ゲームによっては輪っかがぶつかりやすいくらいしか不満を感じることがありませんでしたが、ここで立ち止まらずに進化を続けようとする姿勢が素晴らしいですね。
ここ数年のVRコントローラーはあの手この手で人間の手を再現しようとしてきましたが、今回のハンドトラッキング機能はある意味その究極形と言えます。(そう言う意味では VALVE INDEXのコントローラすら超える(笑))
過去のコメントではまだ手を重ねたりした時のトラッキングが完璧ではないとのことですが、Oculusブログによるとまだまだ機能の追加や改善を進めて行くそうなので、今後さらに洗練されたものになっていくものと思われます。
ただ、現状ではハンドトラッキングに対応した環境やアプリがほぼ無いに等しいので、これをいかに整備していくのかと言ったところも非常に興味深いところでしょうか。
Questに色々と背負わせ過ぎな気もしますが、相変わらず愛され上手で面白いデバイスだと思います(笑)
コメント
たしか足のコントローラーも開発中だった気がする